会越国境 金凍山  924.6M     N 37°31′31″  E 139°34′12″

ロケーションの良い静かな山

GPS LOG 20日9時天気図 20日9時気象衛星写真 取付き場所 薮の急登
オヤジの寝床? 稜線に出ても薮 金凍山 僅かな雪を拾う イワウチワ

天気図、衛星写真は気象庁のHPより引用



日   時  平成20年4月20日(日)
山行形態  春山低山 ピストン
入山山域  会越国境山域
入山場所  阿賀町(旧上川村)柴倉集落先林道ゲート
下山場所  同上

参加者 
 L高橋(OPL)さん・石井(NEN)さん・渋谷(LOM)さん・宮下さん・会田さん・中村(NTR)さん・笹川(LTQ)ボクです。

天候
4月20日(日)曇り後晴れ
気温 9.6℃〜20.3℃
風向 N〜E〜NE〜N〜NNW〜W〜NNE〜NNW (Sに廻ることはなかったが暖かだった。)
風速 1〜3
観測地 新潟県津川

ウインドプロファイラ
20日12時
1km:ENE 5m/2km:ENE 9m/3km:NE 10m/ 4km:NE 11m/5km:NE 8m
観測地 新潟県高田


コースタイム他
4月20日(日)
06:00 集合場所集合出発
07:18 柴倉集落先のゲート着 (455m)
07:31 駐車地点発
08:50 取付き地点発 (656m)
09:43 稜線 (903m)稜線を南下していく。
10:30 稜線が東に大きく振れる
11:07 稜頂に着いた。三角点を探す。
11:12 三角点を見つける (924.6m)
12:15 下山開始 (924.6m)
13:51 下山尾根(903m) 800mより下は雪がない。
14:43 取付き地点 (656m) 20mほど下り過ぎた。
15:45 柴倉集落先のゲート着
18:05 集合場所着 解散


GPSデータ
TP積算距離 10.1km
移動平均速  3.0km
全体平均速  1.3km
総上昇量    677m


概略
集会日にOPLさんが、会越国境山域に金凍山という山があり行ってみたい。と個人山行のインフォメーションがあった。
カナコオリ又はカナゴリ・カネコリ等読み方も幾つかあるようですが、いずれにしても私達の住むエリアでは
昔から氷柱(ツララ)のことをカナコオリと呼ぶ。
尖がっていて、金凍山なのか?
それとも、キ○タ○が凍る程ショッパイ所なのか?
地形図を眺めるとナカナカ興味深い地形でもある。

夜明けも随分早くなってきた。つい先頃から拙宅界隈でもウグイスが良い声で鳴き始めた。このウグイスの声は
毎年花の時期の楽しみでもある。ウグイスの声が聞こえなくなると、やがてカッコウのが鳴き始め梅雨入りが近くなる。
先ごろのインフォメーションでOPLさんが先週の偵察で付近には沢山の雪が残っていた。と話していた。それなら
冬靴だなと思いつつ準備する。標高差からしても、テンテンと進めそうだと楽勝気分。

ボクとNTRさんの車2台に分乗して柴倉集落を目指す。車を停めたゲート付近にはカタクリ・イチゲ等が群生していた。
準備をして砂利道の林道を歩く。林道歩きは退屈なものだが、初めて訪れたこの地は山の相が異なり飽きない。

林道上の崖の岩が崩落して林道の一部を覆っている。見慣れない岩だ。
OPLさんが仕事柄、岩石、地質に詳しいNTRさんに聞くと「グリーンタフですね。」・・・?
「緑色凝灰岩」・・・?
「大谷石ですね。」
一同、納得。
林道をプラプラ歩きながら、NTRさんに聞くと、この緑色凝灰岩は花崗岩より新しい世代の岩だそうだ。生成は海中で火山灰堆積で後に隆起したようだが、熱とか圧力による変性も当然あるだろう。
そういえば、49号線沿いで見かけるし、柳津の虚空蔵尊・円蔵時界隈も同じ感じだ。
また、水分を含むと、とても強度が弱いそうだ。帰宅後、インターネットで調べたら、地下のグリーンタフが
地すべりの滑り面を形成することもあると書いてあった。

途中で取付く場所を地形図を眺めながら検討したが林道末端まで行ったOPLさんの偵察場所で取付くことにした。
取付きで一休みして登り始める。OPLさんが雪がタップリ残っていたという話しをしていたので、ソールのカチカチの冬靴できたけれど、不明瞭な尾根には雪はない。薮に掴まりながら斜面を登る。辺り一面にイワウチワが大ぶりな花を咲かせていた。

傾斜の少し緩んだ所で、クマアナをNEN・OPLさんが見つけた。勿論、既に出た跡である。入口から比較すると中はとても広い。
野生の息づかいを感じる。

ようやく、稜線に上がって驚いた。
稜線上にはずっと大きな天然杉が真っ直ぐたっている。私達の住むエリアでは稜線上には大きな木は生えない。
標高1000m以下でも日本海から近いため、季節風の影響を強く受け大きな樹は稜線上になかなか育たない。
また、この山域では笹・ネマガリタケ・柴・杉・楢類・ブナが混成している。不思議な植生というか飯豊北部山域とは明らかに
異なる植生だ。そして、風下側を見ても雪食崖は顕著でない。そして、ブナ・楢・杉が大木として真っ直ぐ生育する稜線という
現況を考えると、この地域は雪が深く、風が弱い所であると推定できる。
海岸線から約70`位で海とこのエリアの間には、御神楽岳、矢筈等の川内山塊、日本平山、もっと北から風が吹いた場合は
五頭連峰の風下にあたり、標高も1,000m以下ということで風の弱いエリアと考えるのが相当で、しんしんと降り続ける
雪ではないだろうか?

もう一つ、面白いのが沢が浅いという事。飯豊山域の様に峻険・絶悪という渓相ではない。稜線から見える沢は
皆、開けた明るい感じだ。沢床にも樹が見えたりする。雪はあるもののゴルジュがあれば樹など沢床からは見えない。
そんな、こんな風景を楽しみながら稜線の薮と折り合いを付けながら進む。
シロウトの想像だけど、先ず、新しい隆起した地層なので侵食が進んでいない。また、花崗岩質とは異なり、柔らかい岩質のため
沢全体が崩れるので花崗岩のゴルジュ形成とは質が異なるのであまり大きな滝はないだろう。
でも、ハーケン・カム・チョック類は脆くてとても効きそうにない感じだ。沢ならどうしても柴類からの支点工作となるだろう。
全体的に沢は怖そうな感じがない。飯豊山域の沢は最初から降りようか?という気分にならないが、ここなら少しの
捨て縄とロープがあれば・・・と感じる。

薮山初挑戦の方も居たがなかなか上手にこなす。ボク自身は薮は蕎麦屋さんの薮は良いとして、山の薮は所望ではない。
でも沢のツメでの薮は運命的であり避けて通れない。また、飯豊界隈で動き回る場合は薮とは無縁ではいられない。
だから、「薮山は登れない」。と「薮山は(登れるけど)登らない」。とでは当地では大違い。

久しぶりに薮山を全身で感じながら進み山頂と思われる所に着く。GPSを頼りに三角点を探す。国土山方向に開けた場所に
落葉に埋まっていた。

これで安心して昼食を楽しむ。
風当たりの弱い不思議な樹林帯の稜線でノンビリと山座同定などしながら静かな山頂でボク達だけの食事を楽しみ下山する。

下山方向では、飯豊が見えた。シルエットから本山〜大日かな?などと話すがいつも眺める方向とは違うので断定できない。

下山尾根から下るが、急な斜面のネマガリタケが嫌なので沢の雪を目指すが直ぐに消える。仕方なく、朝、登った尾根を
目指すが笹薮で覚えがない。GPSで確認すると概ねOK。適当に真っ直ぐ降りる。また雪が見えて喜んで乗っかる。
少し違う感じがするので上を見たら、林道の段差が見えた。20m程降りすぎた。

金凍山の名前の由来はOPLさんは稜線の杉が天地ひっくり返しでツララに見えたのでは?とのこと。
馬ノ髪は、確かに馬のタテガミに見える。
が、今回はどうだろうか?

林道に戻り皆さんで晩酌に供する程度のフキノトウを摘まんで林道を下った。
七福の湯で汗を流して、帰途についた。

地質、植生の異なる山というのも面白いものだ。
企画のOPLさん、みなさんありがとうございました。
でも、結局、金凍山の名前の由来は釈然としなかった。


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